砂ダイアピル?!





せっかくスマホ対応をしたというのに,新年に入ってから,さっぱり更新してませんでした.いけませんね...
今年はとりあえず,手持ちのネタから『昔の話』を一掃するところから始めたいと思います.

上の写真は,まったく古いです.右下に日付の焼き込みが入ってますから,当然デジカメ以前のフィルム時代のもので,1991年9月,浦河町日高幌別川中流部の支流,飯場の沢で撮ったものです.
岩相としては,いわゆる泥クラスト礫岩に似ていますが,私(達)の直感は,『重力流堆積物にしてはどうも変だな?』というものでした.泥クラストの円磨度が低すぎるし,その分布もあまりに不規則過ぎました.




そのうちに,この地域の付加体の研究でフィールドに入っていた植田勇人さん(現弘前大学)から,この『泥クラスト礫岩』が周囲に対する貫入体であることを示す現象を見いだしたという情報がもたらされ,我々はこれを『砂ダイアピル』と名付けて,川村・植田(1997)にその概要を報告しました.右写真は,植田さんがソガベツ滝上流で撮影したものです.私などにはとても行けないような厳しい沢らしく,山や沢に強い植田さんならではの発見だったな...という気がします.
で,その貫入現象というのは,泥クラスト礫岩の母岩へのクサビ状の貫入や,母岩に対して fluidization を与えていることなどでした.




左の模式図は,その時出した図をカラーにして描き変えたものですが,付加体の変形岩に貫入する泥ダイアピルよりは相対的に早期に浅所で形成されたもの,一部は海溝斜面堆積体にまで貫入しているというスキームです.

さて,今にして考えるとどうなのかというと,正直微妙な感じもします.勢いで逝っちゃったとでもいうか...自分がこんな年寄りでなかったら,もう一度再検討してみたいような気もないではないのですが(哀).

2014/01/27 12:19:35


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