滝瀬くぐり岩のスランプ層





氷上花崗岩の話はあれで終わりかもと書いたんですが,考えてみたら,まだまだ続きそうです.あまり昔の単一なテーマの話だけではなんなので,ちょっと目先変えておきます.今年の夏見たシリーズ.

道南乙部町滝瀬のくぐり岩です.クルマで走っていたら小さな看板を見つけたのでどんなものかと入ってみたのですが...けっこう驚いた.
左の写真はそのくぐり岩です.要するに館層のシルト岩ですね.露頭下部が侵食で穴が空いており,くぐれる,と.ただそれだけか.向こうに遠く見えているのは,乙部漁港の防波堤です.

ただこの地層,よく見ると,穴の開いているところの上のさらに上が,なにやらごちゃごちゃしています.ん?と思って向こう側に回ってみると.



こんな感じになっていて,.要するにスランプ層なんでした.この写真で向かって右側からスライドしているように見えます.このビューでは,いわゆる褶曲型に見えますが,同じ層準をずーっと海岸沿いに見ていくと,巨大な半固結ブロックを含む破片型や,カオティックな乱雑型など,非常にバラエティに富んでいます.スランプの見本市みたいです.




この写真は乱雑型の部分です.スランプ体全体の厚さは少なくとも10m近くあり,かなり大規模です.

思い出してみると,例の“白亜の崖”の北側にも,比較的連続性の良いスランプ層が見られますので,館層というのは,見かけによらずけっこう斜面相なのかもしれませんね...“白亜の崖”の暗色層は礫質の粗粒砂岩タービダイトですから,考えてみると当たり前か?

北海道の地層を隅々見ているわけではないので自信はないのですが,アクセスの簡単なところとしては,スランプ層の見学地点として一級品ではないかと感じました.

2009/10/23 10:37:41


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