千鳥ヶ滝のソールマーク





夕張千鳥が滝の川端層です.こういう角度(橋からとは反対側)から見ると,豪快な粗粒タービダイトの迫力が伝わってくる気がします.
で,この千鳥ヶ滝は前に紹介したとおり,見事なソールマークが観察されるわけですが,注意してみると他にも色々な堆積構造が見えます.




写真上半部は粗粒礫質厚層(くどい)タービダイト層の下底部で,その下が成層葉理シルト層です.これだけの密度差があるとやはり,荷重構造ができるのも無理はないですね.このロードキャストは,特に規模が大きく,幅が60cm以上あります.Megaloading という感じです.
でも,これを学生に見せても,なんか感動が薄いというか...要するに『具体的にイメージできない』んだと思います.そういう密度逆転現象を見たことがあればイメージできると思うんですが,中学や高校の理科・物理ではやらないんでしょうか?




これは,夕張川の対岸の露頭を遠望したもので,見えているものは薄い砂岩層の上面です.ちょっと風化して崩れてはいますが,一面リップルマークに覆われていることが分ります.
これはとても取り付けないような露頭なので詳細を観察することはできないわけですが...足元の露頭をちょっと注意深く見ると,これほどの規模では見えませんが,まじかで観察することができます.




こんな感じです.リップルマークの中でも,線状のものではなく.いわゆる『linguiod(舌状)』のものです.これも薄い(数cm)砂岩層の上面です.

こういう堆積構造にあまり詳しくないものでアレなんですが...これって,浅海性みたいな?? 昔の学生巡検では私は『これが海底扇状地の地層だ』なんて解説してましたが,あれはイケマセン説明だったのかも.

千鳥ヶ滝の地層って,タービダイト単層以外の砂岩に妙に砂っぽくて葉理が発達するとか,なんだか私には,どう言っていいのかよく分らないことが多すぎます.
前に書いたかもしれませんが,某巡検の時,某有名堆積屋さんに『この堆積環境は?』と聞いてみたのですが,答えは,しばらくうーむと悩んだ結果,『良く分りません』というものでした.

この露頭には,陸上植物破片に富んだ妙なレイヤがはさまれていますが,最近その形成メカニズムについて議論も起こっているようです.
超有名な千鳥ヶ滝の川端層露頭ですが,その形成環境の考察については,これからもうひとひねりあるのかもしれませんね...

2013/02/26 11:44:11


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