浪打峠の交叉層





...て,なに?北海道なの?と言われそうですね.私としては珍しく,道外の新第三系の地層の紹介です.

場所は岩手県一戸町の浪打峠というところで,旧奥州街道の峠だったところということで,写真見るとお分かりのようにいかにも本州らしい雰囲気のあるところです.
もっともここにクルマで到達するにはすごく苦労しました.入り口が分からないのに加えて,この道路の細さ.写真の向こうから幅広のレガシーで来たんですよ.峠のところなんかもうギリギリでした.

で,ここに何があるのかというと,『国天然記念物』の斜交成層があるというので,早池峰付加体の調査の帰りにちょっと寄ってみたわけです.




看板にはこんなことが書いてあって,指定されたのは昭和16年.交叉層というのは私には耳慣れないものでしたが,どうやら cross-stratification の(当時の)訳語のようです.
実はなんでこんなのに興味があったのかというと,ここで紹介した『北広島の斜交成層』が市の記念物に指定された時の申請文書の中に,この一戸町の露頭が天然記念物の例として記載されていたからです.どんなすごい露頭かと期待して行ってみたのですが,なんというか...箱庭みたいなものでした.




露頭に接近してみると,まあそれなりに見事なものでした.黄色っぽいのは軽石片で,双方向の斜交葉理(ヘリンボーン)なので,潮汐性の堆積物なのかと.
この辺は,やはりここで紹介した今金町の瀬棚層の斜交成層に良く似ていますね...斜交成層のセットの底部には水平な葉理を持つ貝殻層が見られました.

しかし,ここが国の天然記念物になるんだったら,瀬棚層のは世界天然記念物級になっちゃうな...て冗談ですけど.昭和16年だからなんとなく『早い者勝ち』みたいな感じなんでしょうね.
大正天皇?もここで休んだとかいう(北海道の山の中にはないような)由緒のあるところなんで,その雰囲気を楽しめただけ良かったのかも.

2011/11/08 10:50:05


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