渡島帯QF砂岩中の砕屑性ザクロ石
で,石英粒子だけではもちろん確実なデータが得られないので,ちょっと観点を変えて...
渡島帯QF砂岩には,けっこうな頻度で砕屑性ザクロ石が含まれています.このグラフは,当時(て,だいぶ昔ですが)大学院生の安田直樹君に測定してもらった砕屑性ザクロ石の化学組成です(川村ほか,2000).
Ca+Mn - Fe2+ の辺付近にあるのは,まあ普通のグランダイトで,火成岩にも弱変成岩にも普通に入ってくるものだと思うので,特になにも.
しかし,Mg - Fe2+ 辺のほうを見てください.かなりのボリュームのクラスタになっていますが,Mg# が最大で45%位まで達しています.これは一般に,グラニュライト相程度の高度変成岩から由来したザクロ石であることを示しています.そのクラスタの Fe2+よりの部分は角閃岩相ということになるでしょう.
このことから,渡島帯QF砂岩の砕屑物供給源として,単なる珪長質深成岩帯ということではなく,珪長質高度変成岩を広範に含む大陸性供給源というイメージが出てきました.
私たちが花崗岩質砕屑物と思っていた石英や斜長石・アルカリ長石も,実は片麻岩由来なのかもしれない...(以下続く)
2009/08/28 12:02:55