渡島帯のQF砂岩
ちょっと手薄だったカテゴリーの話を.砂岩の岩石学は,私の重要なテーマの一つです(でした).しかしこの分野,いまや廃れ果てているみたいで,学会なんか行っても,ほとんど若い人の発表を見ることがありません.なんだかな...(-_-;
思うに,中途半端な研究テーマと見えるのかもしれませんね.地質時代の砂粒の中には,まだまだ思いもかけないような(=他の方法では知り得ない)情報が隠されているというのに,残念なことです.
て,愚痴の前フリは置いといて...本題.北海道のジュラ紀付加体渡島帯の砂岩は,かなり,ユニークなやつです.上の露頭写真見る限りでは,当たり前ですけど,タービダイトはタービダイトなんで,なにも変わった点はありません.この写真は,たしか江差地域の東半部,江差コンプレックス下の沢ユニットのものだと思います.昔の写真で失礼.最近,ここ行ってないんですよね~...
このタービダイト砂岩のどこが変わっているのかというと,とにかく『石英長石質』だということに尽きます.右は,薄片写真ですが,ちょっとアプリティックな花崗岩そのもののようにも見えてしまうくらいです.
全岩化学分析してみると,SiO2 wt% の平均が 79.4wt%(川村ほか,2000),80wt% を超えるのが珍しくもなんとも.最初は分析がおかしいのかと思ったくらいです.
これはつまり,基本は石英長石質だけど,石英が過剰であるということです.
こういう類の海溝充填砂岩では,時にチャート片を大量に含むものが見られますが,渡島帯の場合はチャート片を多く含む砂岩はあることはあるけど,きわめて偏在的です.
ということで,その“過剰な石英”はどんなやつなんだろうと...(以下続く)
2009/08/27 15:19:54