Boumaの嘆き





Bouma って有名な人ですけど,なんと発音するのが正しいか分からないので,普通『バウマ』なんじゃないかと思うんですけど,日本の地質関係では『ブーマ』と呼ぶ人が多いですよね....どっちなんだろう?

で,下のアーティクルの続きです.嘆いているのは Bouma さんではなく,私自身です.(^^;

自由沈降のシミュレーションの最後に近い状態です.沈降開始から7秒後.まだ細粒フラクションは浮いていますけど,こいつらはいつ落ちるか分かりません.
で,下の定着部を見てください.予想というか,私みたいな非専門家の思い込みを裏切って,級化構造はあまり顕著ではありません.たしかに定着部の最上部は粒度減少してますけど,それ以外はほとんど均質です.あ,緑色の粒子はちょっと密度変えてやったグループですが,あまり影響は無いので,無視してください.




これは,定着部を20のセクションに区切って,そのセクションごとに平均・最大・標準偏差を出したものです.下から17番目までは,平均・最大粒径はほとんど変化しません.つまり,級化していない,んですね.最後の3セクション,つまり15 % だけが級化しているという結果です.

私は学生時代以来,なんとなく『単層全体にわたって程度の差こそあれ級化しているはず』と思い込んでいたので,このグラフ見て,かなり驚きました.粒子定着の専門家だったらそんなに驚きはしないと思うんだけど,私は驚いた.

シミュレーション状況を観察していると,この大半の無級化部の形成は,速度分化+自由沈降というよりは,『重力崩壊』に近いイメージです.粒子のフレームワークがその spacing を単に縮小させていくといった感じですね.
つまりは,粒度による沈降速度差は,そんなに大きいものではないんだ,ということにもなります.




この絵は,Bouma (1962) による Bouma sequence の模式図です.今まではこの絵見て何の active thinking も持っていなかったんですが,自分でシミュレーションやってみて,やっと理解することが出来ました.
自由沈降によって出来上がる部分は,Ta と Tb の最下部だけだったんですね...Tb と Tc の大部分は,粒子沈降によって生じるのではなく,traction によって lateral に運ばれてきた,そのさらに上は『雲』からの自由沈降ということになるのかな,.と...まあこれも認識不足・勘違いかもしれませんけど.

今感じているのは,とにかく思い込み・単なるイメージというのは恐ろしいものなんだな,と.そういうことです.反省.

2010/04/22 16:08:46


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