粒子沈降の思い込み


最初に断っておくと,タイトルの“思い込み”というのは,『私が勝手に思い込んでいた』という以上の意味ではありません.地質学の世界では暗黙のうちに広く了解されていたことなのかもしれません.

級化構造(graded structure)は,言うまでもなく,粒子沈降で形成される地層の内部構造として代表的なものでしょう.ストークスの法則で代表される『流体内を自由沈降する粒子の終末速度はその直径が大きいほど大きい』というやつです.つまり粒径の大きなものほど先に落ちてくるので,正常級化構造が形成されると.それはその通りで,疑う余地はありません.



しかし...私はなんとなく(文章では表現しにくいのですが)このことを過大評価していたようです.それは,たまたま他の目的(別記事に書く予定)で粒子沈降のシミュレーションプログラムを書いてみて,初めて気づきました.考えてみればおろかな話ですが.懺悔.

で,簡単な結論を書いておくと,粒子の初期分布と定着高によって変わってきますが,基本的には『級化構造は単層の最上部でやっと顕在化する』ということになります.アニメーション画像は,詳しいことは省略しますが,VisualBasic コードでシミュレーションした結果の一つです.

今まで“タービダイトのA(・B)ディビジョンって何であんなに厚いのかな??”なんて無邪気に(他人事として ^^;)感じていたんですが,これ見るとなるほどな...と思います.地質屋として猛反省です.実際に粒子沈降の実験をやっている方だったら感覚で分かっていたことなんでしょうけどね.

2009/03/16 09:55:23


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