プレートテクトニクスの拒絶と受容


...という本が出版されていることを最近知りました.巷ではだいぶ評判になっているらしく,インタネット上で検索かけてみるといろいろな“書評”がヒットしてきます.
しかし,私にはこのタイトルは“大仰”すぎて,最初はうへっ?!と思ってしまいました.もちろんその内容は非常に良質なもののようです.

思うに私は,卒業論文調査が1974年,D論提出が1983年ですから,この本が扱っているタイムラインそのものの中で生きてきた地質屋なんだと思います.その実感で言うと,『私は幸せだったんだなぁ』と本心からそう思います.

私の恩師は,湊正雄先生ですから,この本のタイトルで言うと“拒絶派”の親玉みたいなものです.いわゆる“Japan一味”の筆頭ですから...ただ,湊先生からプレートテクトニクスがどうのという話をされたことはありませんでした.元々私は湊先生の門下生として,はなから相手にされていなかったんだと思います.

私の卒論・M論は,テクトニクスなんて高みはそもそも見(え)ていなかったものなので,荒波を受けることがなかったということだと思います.その後,1979年に湊先生が退官されて,私の方は自分勝手に勉強する中で,自然にプレートテクトニクスを“受容”していったんじゃないのかなと感じています.

ただ一方では,自分でPTモデルを描いたりしているとき,『地質事象へのこういう“自動的な”適用やってていいのかな?』と思うときもあります.ステレオタイプに感じてしまうというか.それはPTに対して苦闘しなかった故のお気楽さなのかも.あるいはパラダイムの転換をこの目で見たものとしての懐疑主義なのか...?

2009/10/16 14:58:15


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