正断層と逆断層-一つのパラドックス





さて...正断層と逆断層の話もこれで終わりにします.おそらく,正直な話,この話を読んで『それがどうしたよ?知ってる人ならみんな知ってる話だろ』と思っているんではないでしょうか?

その通りです.知っている人は知っている.分っている人は分かっている...いまさら構造地質のプロでもない私が書くような話かと.
しかし,『tectonogeologists』の一人を標榜しいてる私としては,こういうパラドックス(警句?)で話を締めくくりたいと思います.

上の図(立面図です)を見てください.ケース1とケース2で最初と最後はどちらも同じ.見かけとしてはどちらも同じ逆断層で終わっています.しかし,その『機序』は全然違っています.

ケース1: まず正断層が生じた後,褶曲(等)により右に90度回転した.
ケース2: 褶曲(等)により右に90度回転した後,逆断層が生じた.

これをどちらと見るか,断層と回転のタイミングの時間差をどう見るか...で,当該地域のジオテクトニクスの解釈はまったく(正反対に)違ってきます.

私は実際,某付加体系巡検で,ある研究者が,ほぼ垂直な層に発達した断層系を見て,『これは明らかに正断層だから...』と議論しているのを見たことがあります.私はその後ろにいて,うーんそうなのかな?と思ったのですが,アタマをちゃんと整理できなかったので,何も言えませんでした.

ということでこの正断層と逆断層の話,単なる形式論理の詭弁などではなくて,実際にテクトニクスをリストアする際に常に頭の隅に置いておかなくてはいけないことなんだ,ということを主張して (^^; 終わりたいと思います.

2013/01/17 13:33:14


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