チロロの巨石





なんだか根室層群の話が続いてしまって,単調なので,埋め草を.全然ユルイ話です.

日高町の山奥,沙流川支流千呂露川の中流付近,ペンクユクトラシナイ川合流点付近の牧草地の脇に,こんなものがあります.巨石です.おそらく長さは 10m弱といったところでしょうか.
この岩石は,神居古潭帯の高圧変成岩です.おそらく珪質で青色角閃石が含まれる『青虎』の類だと思います.

不思議です.周辺は蝦夷層群の分布域なので,上流から運ばれたのは間違いないのですが,小さな沢の流れで運ばれるような大きさではないし,土石流で,と考えても周囲にそれらしき気配はありません.これ一個だけがぽつんと地面に置かれているのです.巨石遺跡の大好きな私はつい,未知の古代文明が北海道に?!...なんてことはないですね.




この巨石の前には,日高町教育委員会設置の説明看板が何枚か立てられています.興味ある方はじっくりと読んでほしいのですが,どうやら,数寄者?の個人が上流から苦労して運んだもののようです.重機も入らないような沢でいったいどうやって運んだんでしょうか? また最大の疑問は『ここまで苦労して運んできてなぜここに放置?』ですね.なにか事情ご存知の方はよろしく.




これだけだと単なる昔話なので,地質屋としてはこの巨石の岩相を確認するべく,上に登ってみました...って,ちゃんと梯子が用意されているんですよ.
何しろハンマーで叩くわけにもいかないのですが,上面には,複雑に褶曲したみごとな変成岩の層状構造が風化で浮き上がっていました.

それにしてもこの巨石の前の看板群,文章の調子が独特です.私の記憶では,以前教育委員会にいらしたTさんが,(当時の)町長直筆とか言ってましたが,そうなのかも.

2011/07/28 12:46:42


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