支笏火山灰露頭流浪
この2,3年,学生巡検のストップ探しで,支笏火山灰堆積物の露頭を探索する機会がありました.左の写真は Google Earth から採った国道36号線美々付近の空中写真です.左上に千歳空港の滑走路南端が見えています.
この界隈で火山灰の露頭なんて何の苦労もいらんだろ?と思われるかもしれませんが,これがけっこう手ごわい...ひとつは,土取り場や農地造成の際に出てくるものなので,非常に不安定.農家や畑の裏の露頭なんてのは,大人数での巡検にはちょっと不向きな点があります.バスを乗り付けるのが不可能だったり.
最初に見つけたのがこれ(①).なんと,学会の帰りに千歳空港に着陸するとき,飛行機の窓から偶然にもこれが見えたのであとから行ってみたらドンぴしゃり,というもの.露頭の規模がけっこう大きく,火砕流とその上位の降下軽石のコントラストが見事で,樽前まで見えているので,グッドでした.
しかし...この露頭を見学できたのは一回だけ.次の回の下見で現場のおっさんに話してみると,『今造成が入ってて,ダンプがガンガン走ってるので危なくてダメだ!ダメだ!』と言われてあえなく敗退.
その次に見つけたのがこれ(②).巨大な土取り場の一角ですが,ちょうど露頭の整形も良く,火砕流とその下位の降下軽石が見えています.降下軽石の中には直立炭化木も入っており,露頭のきれいさもあいまって,規模も大きくなかなか.管理者に電話したら,『崖も触ってもなにしてもいい』と言われ,なかなか素晴らしかった.火砕流は二層に分化しており,どうも複数のユニットがありそうでした.この上の降下軽石はこの露頭の向こう側にあるのですが,芝が張られておりよく見えませんでした.
ところが...その半年後に下見に行ってみたら,この見事な露頭はすべて崩されており,単なる火山灰土の山に変わっていました.土取り場なんだからしょうがない...これから搬出するところだったんでしょうね.
で,結局...いま使っているのは,昔からずっとある通称『とうきび畑裏の露頭』(③).火砕流の上下の降下軽石が良く見えているので,なかなか素晴らしいところです.デメリットはアプローチの農道が道幅細くて,大型バスが入れないことくいか.
この畑の農家の方は親切な方達で『いくら見てもいい』と言っていただいたんですが...今年の巡検では学生が二人ほど,トイレが我慢できないと言い出してこの農家のトイレを借りるしかなく,『もう二度とこういうことはしないで欲しい』ときつく言われてしまいました.巡検参加者にはトイレは絶対にないので出発前に準備しとけと固く言っていたのに,残念です.ご迷惑をかけました.m(__)m >農家の方.
さて,来年はどうしようか...理想は,火山学会か地質学会かが露頭の土地買い取って,案内板立てて,ついでに簡易トイレ設置してくれれば...なんて思うんですが,無理なんでしょうね.
2009/11/27 09:52:17