火星の地層は風成層





このカテゴリーも本当にひさしぶりです...って,要するに全体の更新が滞っているためですが.

Mars Rovers も着陸から8年を経過し,スピリッツは活動を停止し,オポチュニティも最近はこれといった動きを見せていません.と言っても,いまだに動作しているというだけで驚異的なことですが.

このカテゴリーでは,火星で見つかった地層についていくつか紹介しました.発見当初は,海浜性の地層とかいう見方が強かったのですが,その後の堆積学者による詳細な検討によって,『風成層』であるという見方がほぼ確定しているようです(Metz et al., 2009, Hayes et al., 2011 など).

左の写真は,オポチュニティが撮影したビクトリア・クレータの内壁の地層です.この写真を最初に見たときは,本当に感動したものです.
簡単に説明を挿入しておきましたが,要するにこの波長の大きな斜交層理は,砂丘成層の内部構造に合致するということで,なるほどと納得しました.

ただそうなると,当初エンデュランス・クレータ内部やその周辺で見つかった波長やセット厚の小さい斜交層理(葉理)が何なのかということになるわけですが,砂丘間の playa lake の堆積物ということのようです.これもなるほど納得.
まあ意味合いとしてはそんなに当初と変わらない(=液体の水たまりがあった)ということなのですが,広大な海があったというわけではなさそうなので,ちょっと残念です.

なお私が当初推測したとおり,地層の上部の角礫層は衝突堆積物でした.古地表面の下には分厚い風化帯がはっきりと見えており,砂丘形成から地層化そして隕石衝突まで,かなり長い時間が経過したことが読み取れます.

さて...来月には Rovers に比べて装備を格段に増強した Curiosity が火星に着陸します.まずは着陸に成功するのがすべての始まりですが,その後の展開次第では,このカテゴリーも賑わうことになるかもしれません.楽しみです.

2012/07/25 13:02:38


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