Curiosity -泥岩の発見





NASAの火星探査機 Curiosity ですが...債務問題による政府機関の休業騒ぎなんかでしばらくご無沙汰しているうちに,地質屋の仕事をきっちりとこなしていました.

何かというと...Gale Crater 内での泥岩層の発見です.泥岩? Rovers がとっくに砂岩層を発見しているんだから,別に大した発見でもないじゃん,と聞いた最初は思ったのですが,そうじゃないですよね.

Rovers が発見したのはすべて砂岩層でした.つまり高エネルギー堆積環境下での堆積物であり,当初は砂浜の堆積物とか言われましたが,最近はその堆積構造の研究から,すべて風成層(砂丘成層)と解釈されています(Hayes et al., 2011 など).ところが今度は,低エネルギー水中環境を示す泥岩層が発見されたことになります.これはよく考えてみると火星地質学的に大変な発見です.

上の写真は,Gale Crater 内のその露頭を示したものです.(NASAサイト内引用元)
この露頭の全体を形成する地層は,Yellowknife Formation と呼ばれていますが,最下部に Sheepbed mudstone という泥岩層,その上位に Gillespie Lake sandstone が重なっています.

この Sheepbed mudstone が要するに,静穏水中環境,つまり湖成環境を指示するものと解釈されているわけです.
その泥質物質の供給源まで特定されており,Gale Crater の外壁上から何本かの水路を伝わって供給されたとされています.

で...一番驚くのは,この泥岩の『絶対年代が測定された』ことです.方法は K-Ar 年代ですが,もちろん Curiosity 搭載の分析機器によるものであるわけで,これはすごい.正直感動しました.
ちなみにその年代は,42億年前,火星の年代区分で言うと,最初期のノアキアン(大気と海の時代)ということになります.やっぱりとんでもなく古い地層だったんですね.あと,この泥岩層が地表に露出した時期まで分かっていて,いまから8千万年前だそうです.恐れ入りました...

2013/12/11 14:06:32


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