火星の礫岩,その後
以前レポートした NASA Curiosity による火星での礫岩層の発見...私のような地層屋にとっては実に興味深い発見ですが,その後の展開が『火星ペース』というか,なかなか間が空きすぎてうまくフォローできていません.
この写真は,Hottah Rock と呼ばれている礫岩露頭ですが,おそらく前に『礫岩発見!』と書いた露頭と同じものだと思います.右側にゆるく傾斜した礫岩層の産状がはっきりと見えていますが,この傾斜は NASA の科学者は meteorite impact の結果と考えているようです.
礫岩層の厚さは数cmと言ったところでしょうか? ところが,私のフォローが不十分なせいか,下で紹介した Gale Crator 内での砂岩泥岩層序との対応関係がさっぱり分かりません.その層序内の挟みなのか,それとも別の層序なのか...?
で,右の写真は,最近 NASA のホームページに掲載されたもので,Harrison Rock と呼ばれています.ところが,この Harrison Rock というのは,画面中央の見事な結晶を含む岩石そのものの名称らしく,それ以外のことはまったく説明されていません.
しかしこれは...写真見るとすぐ分かるように,礫岩中の大礫ではありませんか.写真説明には礫岩のレの字も出てこないんですよ.うーむ...
で,この白い大きな結晶は,化学分析の結果,斜長石であることが分かっています.斜長石の間を受けている黒い部分は単斜輝石に富んだ部分だそうです.つまりこの礫は,ドレライトの礫というわけです.そう言われてみると,Harrison Rock の右側にある黒い色をした角礫は,玄武岩そのもののように見えます.
玄武岩溶岩(・脈岩?)の分布域から水流によって流されてきた stream bed ということなんでしょうか? それにしては円磨度・淘汰度ともにあまり高くないようですが...
Curiosity には Gale Crator 内の地層の近接調査をもっともっとやって欲しいと,地層屋としては強く期待しています.
2014/02/17 14:26:12