Burns Cliff
日本初の金星探査機あかつきの打ち上げも無事行われたようです.そんなわけで,Mars Rovers 火星探査機の話も,うかうかしていると賞味期限切れになりそう(とっくになっている?!)なので,とりあえず,彼らの『最大の発見物』について,アリバイ的に書いておきます.
この NASA で公開されている写真は,オポチュニティが Endurance Crator と呼ばれる小クレータの中に入ってその内壁を見上げて撮ったパノラマ写真です.この崖は『Burns Cliff』と呼ばれています
一目でお分かりのように,火星で初めて詳細に観察された地層です.この写真が撮られたのは2004年6月のことだと思いますが,私は NASA のサイトでこれを見て仰天したのを覚えています.
地質屋としてこの写真を見てすぐ感じるのは,『堆積速度も流速もすごく高そうな地層だなぁ』ということです.地球上だったら浅海相ということになると思いますが,なんだかサージ堆積物のようにも見えてきます.仮にこのときに火星表面に生命が存在していたとしても,化石としてはきわめて残りにくいだろうな,と思わせます.
崖の上に見える破片状の集積物は,いわゆるレゴリスなのか,隕石衝突時に吹き上げられたものの fall-back なのか私には分かりません.
これが数十億年前の地層かも?と言われているようですが,なんともすごいものですね.
この砂粒子は何から出来ているのか,セメントは? 偏光顕微鏡下で一目見てみたいものです.
2010/05/21 12:07:48