奥火の土不整合-その3
奥火の土層基底不整合の話もそろそろ佳境に入ってきました...じゃなくて,そろそろ飽きてきました?!
上のサンプルは下の記事に上げた露頭から取った,『シルル系基底不整合面』そのもののサンプルです.こういうのを,もろサンプルとして取れたというのは,ある意味ですべてが“岩石化”している古い時代の不整合ならでは,という気がしますが,いずれにせよ,貴重なサンプルでしょう.下の記事の写真見るとお分かりのように,サンプル採取そのものは簡単でしたが.
これが約400Maの不整合というわけなんで,おそらく『日本列島最古の不整合』だと思います.不整合がこういうサンプルで取れたわけですから,当たり前というか,それを顕微鏡で見ることができたわけです.
画面下部に見えているⅡが,氷上花崗岩を構成する石英+アルカリ長石です.その上の淡赤褐色に見えているのが,シルル系基底泥岩です.花崗岩中には広角の展張性割れ目が発達しており,その中に泥岩が充填する産状も随所に見られます.
花崗岩の上に角ばった岩石破片が乗っかっているのが見えますが,変質した玄武岩です.それ以外にも岩石破片が沢山見えていますが,多くは変質というか粘土鉱物化しており,源岩を特定することは困難です.
この基底泥岩は,川村(1983)に書いたとおり,Al2O3 20wt%, 全鉄 10wt% という特徴的な化学組成を持っており,鉄アルミナ質風化残留粘土(の二次堆積物?)と考えられます.完全な陸成層です.
写真に見えるように,弱い片理ができていますが,それ以外は基本的に非変形であり,マイロナイト性貫入とか構造的接触とかの関係を考える必要はゼロということになります.
2009/08/20 12:58:54