石炭紀火山豆石
南部北上古生層,研究されている期間がすごく長くて大先輩も沢山歩いていらっしゃるわけですが,案外知られていないものをいくつか.
私は博士論文研究では,おもに世田米地域の下部石炭系の層序を扱ったわけですが,これはバイモーダルな火山岩類を特徴とした地層です.要するに玄武岩質火山岩類と,珪長質凝灰岩です.
後者の凝灰岩類には,このように,火山豆石(accretionaty lapilli)を多量に含むものが時として観察されます.これは私が大股亜帯加労沢層と命名した下部石炭系のサンプルです.
火山豆石のでき方としては,噴煙柱を雨滴が降下するときにその周囲に火山灰を付着させて出来るとか,火山灰の傾斜した堆積面に雨滴が降下したときに核が出来てそれが“おむすびコロリン”となって出来るとか...いろいろなことが言われているようですが,このサンプルがどうなのかは分かりません.
ポイントになるのは,この珪長質火山活動が,海底火山活動ではなくて,陸上噴火であったということで...海底噴火でも噴煙柱が海面上に噴きあがってもいいような気もしますが,いずれにせよ陸上かあるいは浅海ということになるでしょう.
この凝灰岩の上下は海成化石を含む浅海相なので,後者か,あるいは陸上から二次的に運搬されたもの,ということになるでしょう.
ちなみにこれを顕微鏡下で見るとこんな感じです.比較的粗粒な核と,最外殻部の細粒なスキンからなる典型的な火山豆石だと思います.続成の際の圧密か,あるいは弱い構造変形で,多少扁平化してはいますが.ものによっては,最外殻部が口唇状に開いたものもありますので,堆積初期の圧密によって潰れたのかも.
2009/10/08 10:20:11