雄勝荒浜
東北を襲った未曾有の大災害から3週間が過ぎました.行方不明者の安否や福島原発の事故など,まだ災害の終息の方向はまったく見えていません.東北をふるさとに持つ私のような者にとっては,つらい日々が続いています.
感傷的になるのは努めて回避しようと思っているのですが,なかなか難しいです.
この写真は,宮城県石巻市旧雄勝町荒浜の沖にある甲(よろい)島です.いかにも三陸海岸らしい風景で,ここに行くたびに心が洗われるような思いがしたものです.
地質学的には,この付近を構成するのは三畳系大沢層で,島の下半部が黒色泥岩,畳半部が厚層理砂岩層となっています.この左下の泥岩の中から,箕浦名知男先生らの研究で有名な『雄勝魚竜』の化石が発掘されています.
で...私は化石はどっちでもいいので f(^^; この層準の直下の縞状シルト岩の中に発見した不可思議な未固結流動変形構造(SFD層)が関心の的でした(Kawakami & Kawamura, 2002).これについては未固結堆積物カテゴリーで解説しています.
SFD層は,もともと海岸部に散在していた大転石の中に見つけたもので,源露頭での発見は,その後M論でこれを研究した川上源太郎さんです.思えば,あの大転石も津波の産物だったのかな...なんて思ってます.
最後にここに調査に行ったときは,SFD層の転石サンプルを見つけたのですが,クルマに積むのはちょっと躊躇するような大きさだったので,また来たときに回収しよう,と海岸の陸側のちょっと高いところに置いてきました.結局ここに行く機会はその後ありませんでしたので,あれも今回の津波で失われたろうな...
あと思い出すのは,川上さんの卒論・M論の指導で箕浦先生と一緒に現地に行ったことがあるのですが,荒浜の民宿(名前失念)に泊まり,その夕食に出てきた豪華な海の幸に驚いたことです.そのあと酔っ払って箕浦先生と喧嘩してしまいましたが.m(__)m 元気なおかみさんをはじめ,あの民宿のかたがた,ご無事なんでしょうか...
2011/04/01 12:09:58