氷上花崗岩はペルム系?!





このブログの氷上花崗岩に関するアーティクルをお読みになって,『あの件は触れないの? アンフェアじゃない?』とお思いの方もいらっしゃるかも.

何の話かというと,鈴木ほか(1992)や Adachi et al. (1994) などによる氷上花崗岩の CHIME 年代です.詳しいことはそちら読んでいただくとして省きますが,要するに氷上花崗岩は 250Ma 前後のペルム紀花崗岩であるという話(データ)です.奥火の土層基底部からも 400Ma 前後の年代と一緒に 250Mz前後の年代を持つ鉱物粒子が得られています.このことから彼らは,私がシルル系奥火の土層基底部とした溶結凝灰岩や泥岩を,ペルム紀の陸成層であるとしています.

さて,これをどう考えるか...

CHIME 年代の方法論などは,素人の私にはとても議論できない領域なんで,野外地質屋なりの反証を示しておきたいと思います.

上に示したのは,シルル系奥火の土層の黒色石灰岩中の溶結凝灰岩礫です.このサンプルそのものにはハリシテスなどのシルル紀サンゴ化石は含まれていません.ウミユリ破片は含まれていますが.
これだけだと,もしかすると“溶結凝灰岩と断層破砕関係にあるのでは?”と言われそうなので,こういうサンプルも示しておきます.



シルル紀石灰岩中の火山性砂岩層です.少し紫色を帯びた粒子はすべて溶結凝灰岩です.

ということで,少なくとも『溶結凝灰岩はペルム系ではなくシルル系石灰岩と同時代かより古い』ということが明らかなわけです.

もちろん,“これらの石灰岩そのものからはシルル紀化石が得られていないんだから,石灰岩含めてペルム系,シルル系石灰岩との関係は(どこだか分からんけど)断層”という考え方も可能性としてはありえます.でもそれは『オッカムの剃刀』原理に反しますよね?

2009/10/22 14:39:02


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