下部石炭系基底礫岩
しばらく書いてなかった南部北上古生層ネタです.この古生層は私のD論の主要ネタの一つだったわけですが,あれから30年...特に誰も後を継ぐ(=めちゃめちゃに否定してくれる)研究者も出てこなかったので,なんだかすごくさびしいです.
左の写真は,そのプロセスで新定義した下部石炭系最下部層の尻高沢層基底礫岩です.奥火の土と柏里の分水嶺上で撮影したものです.いつ撮影したものかって...? おそらく1978年前後ではないかと思われますが,不明です.調べれば分かりますけど.買ったばっかしの250ccバイクで作業道を登りまくって撮った記憶があります.良い時代でした.
右はその付近の地質図(川村,1985)です.この地域には,世田米地域で唯一,先石炭系が分布しており,複背斜あるいはドーム構造の中心部と考えられます.
デボン系は主に珪質泥岩と珪長質凝灰岩からなりますが,層序や岩相は不明瞭で,日頃市地域との対比関係は分かりません.そんなわけで『未区分デボン系』として扱い,地層として命名はしませんでした.下部石炭系との不整合関係は実際には露頭としては確認されていませんが,基底礫岩の存在や構造から結論したものです.
基底礫岩の礫種は御覧の通りほとんどが珪長質火山岩類(流紋岩+凝灰岩)で,火山性礫岩といってもよいくらいです.中には,弱い劈開を生じたものがあって,石炭系堆積以前の構造運動を想起させるものもありますが,詳細は不明です.なおこの礫岩や上位の凝灰岩の中には,微量ですが,珪長質深成岩の砕屑物も含まれています.
これは,世田米地域の下部石炭系の概念的総合柱状図です.要するに下位から,珪長質火山岩相(尻高沢層)⇒苦鉄質火山岩相(有住層・大平層下部)⇒石灰岩相(大平層上部・鬼丸層・長岩層)という変遷をしているわけですが,このことについて明瞭なテクトニクス上の説明はいまだなされていない,と思います.
だれか,新たにやってくれないもんですかね~...
2012/02/29 11:16:49