氷上花崗岩のスキーム
ということで,氷上花崗岩に関するテクトニックスキームをまとめてみると,こんな感じになります.川村・北上古生層研究グループ(1997)に出した図のカラー版です.
一番左は,氷上花崗岩とシルル系の不整合関係が確認されて以来のふつーのスキームということで.まったくのストレートなものです.
真ん中が鈴木ほか(1992),Adachi et al (1994) などによる CHIME スキーム.複雑ですよね...年代値というのは数字として出ちゃうとその数字に忖度せざるを得ないので,こうなってしまうのは理解できるのですが...やっぱり“反オッカムの剃刀”的スキームだと思わざるを得ません.
氷上花崗岩の年代値としては,その後 SHRIMP や全岩Rb-Srアイソクロンでも 400Ma 前後の値しか出ていません.最近では富山大の大藤さんらが U-Pbジルコン年代でやはり 400Ma 前後という結果を出しています(地質学会岡山大会講演要旨).
そういう意味で,250 Ma 前後という CHIME 年代は私としてはまったくの problematica であって,なんとも評価のしようが...すみません,鈴木さん.
で,右が私の勝手に考えているスキーム.一般スキームとほとんど違いがないのですが,『氷上花崗岩の底には?』を多少考えてみたいという気持ちの入っているものです.要するにどうなっているのか分からんのですが...
これも,川村・北上古生層研究グループ(1997)に出した図のカラー版ですが,この氷上花崗岩の下底部に構造接触している珪質泥岩がどうも気になっているんですよね.普通考えられているように中部デボン系なのかもしれませんが...どうも気になる.まあ要するに謎なんですけど.
2009/10/22 14:58:33