下部ペルム系の砕屑物





実は私は,南部北上古生層に長らく関わっていましたが,『ペルム系に関する論文』を一つも書いたことがありません.もちろん関心がなかったとかデータがなかったとかではなく,何回か学会発表はしたのですが,結局論文としてまとめることが出来なかった,ということになります.

今にして見ると痛恨事ですが,当時はどうにも手が回らなかったというか...ここに書くのは,『私以外誰も知らないこと』です.(^^; もう論文にすることもないと思うので,思い切ってブログに書いちゃいます.

下のアーティクルに薄衣型礫岩のことを書きました.南部北上に一般常識では,花崗岩質岩礫は薄衣層準からで,その下の叶倉層(の下部)にはないし,ましてや最下部の坂本沢層には.

ところが,あるんですね...上の写真は岩手県住田町小股北方の斜面で見つけた花崗岩円礫です.サイズもそうだけど,なかなか見事ですよね.



顕微鏡で見ると,少し文象状ですが,確かに花崗岩質岩です.トロニエマイト質というところでしょうか.

ところでこの礫岩,ちょっと見に気づく人は気づくと思いますが,他の礫はすべて緑色の火山岩礫です.基質も緑色の火山砕屑質で,火山岩礫岩ということになると思います.




で,この基質...写真に示すとおり,普通角閃石安山岩質のものです.実は南部北上古生層では,普通角閃石の残留した安山岩質火山岩は,これだけです.

まあ化学分析したわけではありませんが,南部北上古生層で一番はっきりとしたカルクアルカリ質島弧火山岩だと思われます.当たり前なんじゃないの?と言われそうですが,資料的価値は非常に大きいでしょう.

2009/12/14 11:04:59


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