大平層の浅海相





それでは,鬼丸層の下にある大平層がどんなものなのかというと...これは宮城教育大学の川村寿郎さんのご専門なので,私なんかが書くと,間違いだと怒られそうな気もしますが.m(__)m

上の写真は,住田町犬頭林道の砕屑性石灰岩です.けっこう色が黒いので私はずっと鬼丸層の石灰岩だと思い込んでいたのですが,要するに大平層最上部なのかも.こういった層相の漸移関係はあちこちで見られていて,要するに両層は整合関係だということになります.この辺は,川村・川村・加藤(1985)で詳しく記載しましたが,犬頭林道だけでなく,平貝の沢入り口などでも確認できます.

砕屑性石灰岩はご覧のとおり,著しい斜交葉理・層理を示していて,浅海のけっこう高エネルギー環境下での堆積を示しています.



顕微鏡で見るとこんな感じで,これはちょっと再結晶していますけど,石灰泥に乏しい grainstone (?) であることがよく分かります.その中に,ウーイドや玄武岩砕屑粒子が散点しています.
大平層上部は,こういう砕屑性石灰岩と砂岩泥岩との互層から,次第に石灰岩が多くなって鬼丸層に漸移移化するということになります.




この大平層の砕屑石灰岩を挟むあたりの泥質岩に特徴的なのが,このクロリトイド斑状変晶です.すぐ東側が白亜紀気仙川花崗岩体なので,その熱変成によるものということになります.
南部北上山地では,クロリトイドが出現してくるのは,ほとんど例外なく,この下部石炭系大平層の最上部と,下部ペルム系坂本沢層の基底部の二層準で,明瞭な層準規制を示しています.その層準規制はイコール,バルク組成による規制ということでもあります.

この源岩の化学的特徴は川村・川村・加藤(1985)に分析値を上げて議論しましたが,要するに鉄・アルミナに富んだ風化残留粘土の特徴を示すということで...熱帯性気候の下,陸域で形成された風化粘土が二次的に浅海域に移動して堆積したものということなんでしょう.

2010/01/29 14:10:46


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