坂本沢層基底不整合





ペルム系坂本沢層基底の不整合は,湊(1942)による記載に感動したこともあって,自分としてはかなり入れ込んでいたものの一つです.なにしろ『世田米褶曲』ですからね...それが結局論文一本書けなかったというのは,なんでかな...? 自分でも不思議です.

この写真も資料的価値があるのではないかと思います.住田町小股東方の大股川沿いの不整合露頭です.もしかするとどこにも出してない露頭写真かも.十年以上前に二度ほどここへ行っているのですが,河床礫などに覆われており,露頭はもはや見つかりませんでした.その後どうなったのか...
レンズキャップの置いてあるすぐ下が不整合面で,その下の淡緑色の岩石は下部石炭系尻高沢層の珪長質凝灰岩です.




一応,小股~下柏里地域の地質図を出しておきます.赤丸印が露頭位置です.ご覧のとおり,柏里付近を軸とした背斜構造を示しています.ただし軸部の柏里付近にも坂本沢層の分布が見られますので,向斜を含んだ複背斜構造ということになると思います.

有住・大平・鬼丸・長岩層を全部削剥して尻高沢層をペルム系が直接覆っているわけですから,南部北上古生層中ではたしかに一番大きな規模の不整合だと思われます.




ちなみに坂本沢層基底直上の泥質眼には,ご覧のように陸上植物破片を大量に含む部分があります.この中から,たまにそれっぽい形をした葉化石が出ることもあり,博士論文発表当時,燃料地質講座の教授だった故棚井敏雅先生に見てもらったこともあるのですが,残念ながら属種名が付くようなものではありませんでした.

2009/12/14 14:36:13


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