氷上花崗岩の『礫』





これは,たぶん今では観察できなくなっていると思われるので,資料的な価値があるのではないかと言う意味で書いておきます.

氷上花崗岩がシルル・デボン系に不整合に覆われるとともに,“貫入脈”の産状も示す...この二面性の一端を示す露頭写真です.

場所は大船渡市大野川支流の大森沢下流笹の平.下部デボン系の大野層の良好な大露頭として,1970-80年代には有名だったところです.10年くらい前に行ってみたことがあるのですが,露頭は草とヤブで覆われ,往年の面影はまったくありませんでした.

この写真は...いつ撮ったものか分かりません.ASAHI PENTAX のレンズキャップが写っていますので,1970年代後半のものと思います.まあ,フィールドノートひっくり返せば分かるとは思いますが.

で,薄緑色の岩石は大野層の珪長質凝灰岩(あるいは泥岩)です.村田ほか(1974)には,もっと大きな花崗岩ブロックが記載されていますが,このときはこのサイズの礫しか写真に撮れませんでした.孤立した円礫~亜円礫で,テクトニックな可能性はゼロだと思います.なんでこんなオーバーサイズ礫が細粒堆積岩中に孤立しているのかは分かりませんが.

他の場所では,こういう“含礫凝灰岩”に花崗岩礫とfavositids などの化石破片が混在しているところもあるので,浅海域のなんらかの崩壊現象によるものと見るのが妥当なようです.

2009/11/09 11:15:38


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