中部デボン系のソールマーク





久しぶりの南部北上追憶シリーズです.

この写真は,大船渡市大森沢中流部に露出する中部デボン系中里層の層理面に発達するソールマークです.右上から左下に走る線状の凹凸がそれですが,形状からするとフルートキャストの変形したもの+グルーブキャストに見えます.露頭左上から落ちる黒い線は木の枝の影です...って,言わなくても分りますか.

で,北上古生層中にソールマーク,それがどうした?珍しくも何とも?!と言われそうですが...実は私の知る限り,明瞭なソールマークが見られるのは,北上古生層中でこれだけです.ペルム系上部はあまり見てないので,そのへんは分かりませんけど.
私の出身の『北大第2講座』でも,この露頭を珍しいものと捉えていましたから,唯一ではないとしても.




岩相はご覧のように,中層理~薄層理のタービダイト砂岩+葉理シルト岩でほぼ垂直です.
実は...有体に言っちゃうと,南部北上古生層は,非変成なんて言われていますけど,その大部分はけっこう温度が上がっていて,緑色片岩相~緑レン石角閃岩相に達しています.とはいっても広域変成というよりは,前期白亜紀深成岩の活動に伴う『広範な接触変成』と考えた方がいいみたいです.一見非変成でも薄片で見ると,白雲母・緑泥石・緑褐色黒雲母が生じており,点紋部もけっこうな幅で出てきたりします.
それに加えて褶曲もかなり来ていますので,層面すべりが随所で発達していると考えられます.これらのせいで,もともとの層理面はほとんど保存されてないと考えられます.

というわけで,珍しいんですよ...やっぱり.




ちなみに上の写真は,2005年ころに南部北上古生層の記録を残しておこうという意味合いで撮影したものですが,その昔撮ったスライドを見ていたら,同じ露頭を撮ったものが出てきました.左がそれですが...蘚苔類の繁茂を除くとあまり変わっていませんね.おそらく1970年代に撮ったものだと思うので,30年は経過していますが,露頭って,それほど無茶苦茶に劣化しないもんなんだな...とちょっと驚きました.

2013/02/21 13:25:23


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