花崗岩ゼノリス





下の角閃岩ゼノリスの記事で,『花崗岩類を含まない』と書きました.しかし,世田米地域の貫入岩脈の中には,少量ですが,花崗岩ゼノリスを含むものが存在します.それについて一応書いておきます.

上の写真は,住田町柏里の下部石炭系の中に貫入する薄い岩脈の中から見つけた花崗岩ゼノリスです.



サンプルを採って研磨してみるとこんな具合になっています.このサンプルは合地沢で採ったものですが,おそらく,見つけたもので最大級のものだったと思います.
これらのゼノリスについては,川村(1980:短報)で報告しました.合地沢のものは,特に花崗岩中にカタクラスチックな破砕構造が見られ,証拠はないわけですが,氷上花崗岩に相当する,と考えたいところです.

ただ,数(量)が少ないこと,および壷の沢片麻岩のような珪長質変成岩も伴わないので,その意義については微妙なところです.そういうところに捕獲レベルがないということなのか,それとも基盤の中でそもそも氷上花崗岩が量的にマイナーなコンポーネントだということなのか...私としては後者だと考えているわけですが.

ちなみにどうでもいい話ですが,この花崗岩ゼノリス,場所によっては捕獲の際に溶融が起きたような組織を示します.



こんな感じで,ゼノリス内部の石英や長石の粒間に微晶質な部分があり,石英・長石は明瞭な corroded form を示しています.微晶質の部分は,溶融部が貫入時に急冷され引き続いて脱ハリ化したところだと思うんですが...
ちなみにこの短報,著者最終校正の時私はフィールドにいて出来なかったんで,同級生の加藤孝幸氏に校正を頼みました.そのとき,(この期に及んで)レフリーから『花崗岩が溶融しているなんてとても信じられない』という意見が付いてきたそうです.著者がその場にいないので加藤氏がどうしたかというと,『実際融けてるんだからしょうがないだろう』と返事を書いて送り返したそうです.さすが,我が同級生.m(__)m

2009/09/25 15:50:25


コメント:
 m (2009/09/26 16:45:18)
  実習お疲れさまでした
後期堆積学でお世話になります☆

コメント:
 mkawa (2009/10/01 06:50:10)
  うっ...関係者の方ですか? :-p


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