Halysites labyrinthicus





蝦夷層群関係が崕山をはじめとしてどうも不調なので,追憶でお茶を濁しておきます...

私は,南部北上シルル系で地質学会(界)にデビューしました.地質学会で初発表したのは忘れもしない,1978年の清水大会でした.いや~..懐かしいな.
で,その話の肝(きも)となる基底不整合に関する話は複雑なので,別アーティクルでぼちぼち書いていこうと考えています.

これは,私の初論文,Kawamura (1980) で報告したシルル系奥火の土層から産出した Halysites labyrinthicus (Goldfuss) の研磨標本です.化石嫌いの私の初論文が古生物論文だったというのは,一体どういう巡り会わせなんでしょうか?

このハリシテス,corallite がすごく大きなタイプで,ヨーロッパやオーストラリアなんかとの共通種ですが,日本のシルル系からはまだ見つかってませんでした.いまだに見つかってないんじゃないかな? 斜面降りるときにけつまづいて見つけたものですが,もう南部北上からは二度と出ないかも? そういう意味で,標本現物をカラー写真で掲載しておくのも意味があるのかも...て,モノクロでも同じなんですが,ご覧のとおり白黒の標本なんで.:-p

ちなみにこの写真,私のD論発表のとき撮ったものですが,なんなんでしょうね,このブルーベルベットみたいな背景は? (^^; 当時の第2講座にこういうものが用意されていたのかな? 自分で買ったりした記憶はない.あと,スケールがあまりにも手作り風で情けないですが,パソコン無かった当時なので仕方ないんですよ.

Kawamura (1980) は単著論文ですが,なにしろ苦手な英語論文,しかも初論文ですからね...中身はほとんど加藤誠先生の筆で原形をとどめていません.今にしてそう思うんですが,これは Kato and Kawamura (1980) とするべき論文だったと.加藤先生には感謝の言葉もありません.私が徹夜でタイプした原稿を加藤先生と昼に検討して,また夜に私がタイプで打ちなおす...よくやれたもんです,若いということは.

で,感謝だけではうそ臭いので,(^^; 加藤先生への“恨み”を一つ書いておくと...なにしろ南部北上,化石も構造変形しているもので,corallite の大きさの対比とかが難しい.そこで私が考えたのは,変形した corallite の短径と長径を計って,その積の平方根で他種との比較を行う,というものでした.グラフ作って,これはうまい!と思ったら...『化石種としてのオリジナルの短径・長径と誤解されかねない』というご指摘で,せっかくの投射装置まで使ってやった測定結果がグラフとともにボツに...まあ,ごもっともな指摘だったわけですが,当時の私はだいぶほっぺた膨らませた記憶が.m(__)m

2009/07/17 15:47:59


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