奥火の土不整合-その2
お盆休みはさんで中断してしまいましたが,再開します.
で,これが下記の斜面を精査したときに発見した,シルル系奥火の土層基底不整合露頭です.露頭下半部の白色なのが氷上花崗岩,上半部の暗褐色部が,奥火の土層最下部の泥岩です.泥岩は鉄アルミナに富む特徴的な化学組成を持ち,この直上に溶結凝灰岩が分布します.要するに陸成泥岩ということに.泥岩の下部右側にレンズキャップとほぼ同じ大きさの白っぽいものが入っていますが,これは花崗岩礫です.
正直言って,この露頭見たとき,自分としてすぐに『これは氷上花崗岩が先シルル紀であることを示す不整合』と直感できたかについては記憶(・記録)が既にあいまいです.そうだったかもしれないし,最初はなんだか分からなくて,だんだんそう思うようになっていったのかも.
というのは,私の所属している北大第二講座では,氷上花崗岩は古生層に貫入しているもので,おそらくペルム紀のもの,という考えが主流だったからです.
フィールドノート確認してみたら,1977年10月の段階でも,まだ『不整合面?』とはてなマークが付いていました.1977年3月に出た湊先生の総研Aの連絡誌に,シルル紀化石発見の記事を書いていますが,湊先生に気兼ねしたのか,『マイロナイト性貫入』『(砂岩は)堆積岩源のものである可能性も』などというあいまいな書き方をしています.
で,このあと1978年3月の地質学会清水総会で,『現在は断層であるが,元来は不整合関係』という発表をしたのでした.まだ気兼ねしていたんでしょうか?
この学会発表の後,村田正文先生が私のところにやってきて,『君,よくああいう発表をしたね!』と激励?してくれたのを良く覚えています.北大はみな氷上花崗岩貫入派というイメージで捉えられていましたから,村田先生もけっこう驚いたんでしょうね.当人の私は,単に事実を言っただけで,北大第2講座(=湊先生)に反逆したというイメージはまったくありませんでしたが.
2009/08/17 15:18:42