ペルム系基底部の熟成砂岩と風化粘土
ペルム系坂本沢層の話題はここまでかと思うので,一気に書いてしまいます.
世田米地域の坂本沢層の基底部は,いかにも大規模不整合上の堆積物にふさわしいというか...砂岩はご覧のように『超熟成』状態です.白く透明に見えるものはすべて単結晶石英粒子,少し濁って見えるのはそのほとんどが珪質岩粒子です.長石類の含有はほぼゼロです.
珪質岩粒子は,なかなか難しいのですが,多少弱変成を受けた珪長質凝灰岩を主体とすると思われます.しかし組織的にはどう見てもチャートとしか思えないものもあって...先ペルム紀に島弧内部に pre-cycle の付加体が上昇陸化したところがあったのかな?とけっこう不思議です.少なくとも先ペルム紀付加体をペルム系が不整合に覆う場所は見つかっていないので.
もう一つ,ペルム系基底部に特徴的な岩石がこれです.最初見た時は一体なんなのか分かりませんでしたが,クロリトイドの斑状変晶を多量に生じた,いわゆる『クロリトイド粘板岩』です.
顕微鏡で見るとこうなっていて,独特の異常干渉色を持ったクロリトイドが束状の集晶を形成しています.
こういうクロリトイドが出てくるところは,明らかに層準規制を持っていて,その代表的なものがペルム系基底部です.もうひとつは後に書きたいと思います.
クロリトイドの生成については,岩生周一さんが日立地域などで精力的に検討されていますが,要約すると,鉄・アルミナに富んだ風化残留粘土の要素を持った泥質堆積物が緑色片岩相程度の弱変成作用を受けると出現してくるということで...ちなみに坂本沢層の基底泥質岩の化学組成については,吉田ほか(1994)にアリバイ的に載せてもらいましたが,だいたいAl2O3 25wt%前後,total Fe2O3 12wt%前後といった組成でした.
坂本沢層の基底部は,しつこく攻めてみればいろいろなデータが出てくる層準だとは思うんですが.
2009/12/15 09:51:32