長野峠の蛇紋岩-苦鉄質岩
これは古いです...おそらく 1983 年.もう 30 年も前の話.
当時私たち(北上古生層研究グループ:KPG)は,早池峰構造帯というのは,蛇紋岩と苦鉄質変成岩(角閃岩)の存在によって特徴づけられている,と漠然と思っていました.それはある意味,『南部北上にはない石』に対する憧憬の念もあったのかもしれません.これについては,ひとつ前のアーティクル,『早池峰山と早池峰帯』をご覧ください.
上の写真は,その当時の象徴的な露頭写真です.場所は岩手県盛岡市砂子沢から長野峠へ抜ける県道沿いの露頭です.いまはどうなっていますかね...
両側の青黒いやつが言うまでもなく蛇紋岩で,その間にある風化して赤くなっている部分が角閃岩体です.厚さは20 m くらいでしょうか? もちろん横方向の連続性は悪く,要するにスライス状に挟まっているものと思われます.
右の写真は,上の写真の場所そのものではないのですが,やはり県道沿いの蛇紋岩中の苦鉄質岩(角閃岩~角閃石ハンレイ岩)の産状です.苦鉄質岩はやはりスライス状で,蛇紋岩との間は(当然ながら)弱いすべり面が介在しています.
当時は,このような岩石が早池峰構造帯の肝と思い,慣れない目と頭で必死に観察したものでした.この写真は何となくそんな雰囲気が漂っています...って,考え過ぎか.
下でルーペを使って見ているのが中井均さん,上に登っているのが宮城教育大学の川村寿郎さんです.1983年というと,お二人ともまだ北大の大学院に在籍していたんだったかな...? 遠い昔の話です.いまは早池峰もなんだか自分の中で遠い場所になってしまったような気もしています.
2014/01/31 17:06:07