MS互層の親戚





ちょっと話がくどくなってきてますが...(おそらく)MS互層に関するアーティクルはこれが最後だと思うので,一気に.

根田茂コンプレックスがどうやら(ジュラ紀北部北上帯とは違って)古生代付加体という確信が固まってきたのは数年以上前の話ですが...それなら,日本列島で類似地質体がないものかと,何度か巡検をした時期があります.

その対象は,超丹波帯・上越帯・秩父帯北帯・青海-蓮華帯,中国帯(錦層群)などでした.ヒマだったのかまだ若かったのか,多くは一人で,よくまあ北海道からクルマ飛ばして行ったものです.ほとんど自費でした.まあ,結果としては『似たものものあるけど違ったものもある』.すいません.

この写真は,主観的な話ですけど,見た目,一番根田茂コンプレックスのMS互層に似ていた...群馬県片品村片品川上流部の『尾名沢層』です.地体的な連続性は不明ですが,要するに上越帯の一部かと.学会発表(矢野ほか,1993)ですが,ペルム紀の放散虫が報告されています.いや~...ほんとに似ています.




こちらは今年採取したものですが,地質学会巡検で連れて行ってもらった,兵庫県佐用町大日山川の超丹波帯上月層の泥岩・珪長質凝灰岩互層.この付近からもペルム紀中世の放散虫化石が出ています.まあ,似てるといえば似てる...

結局,根田茂コンプレックスのMS互層の一部は,内野ほか(2005)によって下部石炭系であることが明らかになったので,(少なくともいまのところは)日本列島にはそれに対比される非変成地質体はないということになっているわけですが...『珪長質火山物質の卓越した古生代付加体砕屑岩類』という意味では,これらの岩石,MS互層の親戚,と言ってもよいのかも.

2009/12/17 12:56:41


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