早池峰山と早池峰帯
これは,遠野市荒川高原から見た早池峰山です.もちろん,右側の残雪の見えるごつごつした山体が早池峰山です.同じくらいの高さの右側のピークは薬師岳.白亜紀花崗岩の山なので,早池峰山とは対照的なたおやかな山容をしています.
この写真は,2001年6月に撮ったものですが,このころはまだ図幅も含めて,早池峰山の地質的問題のまとめは自分の手の中にあると思っていました.今は...どうなんでしょう?
話は変わりますが,私(達)が当初,当時の早池峰構造帯の調査を開始するときのシンボル的な存在であったのは,早池峰山を構成する超苦鉄質岩類とその周辺の苦鉄質岩類でした.それが検討を進めるにつれて,より(日本列島の早期テクトニクスにとって)本質的なのは,早池峰山の北側に分布する付加体岩類だと思うようになって行きました.
その象徴として,早池峰構造帯は早池峰帯に,そして根田茂帯へと名前(と定義)を変えていったわけです.
そういう意味でこの南側から撮った写真を見ていると感慨深いものがあります.本質はこの陰に隠れて見えていないんですよ! (^^;
そういう意味で,この写真も,調査検討開始当時の思い入れを示すものとして懐かしいです.南麓のコメガモリ沢登山道の途中から撮った早池峰山超苦鉄質岩体の雄姿です.撮影はまだフィルムカメラでしたが,手元の記録では,1987年10月となっています.
迫力ですよね...当時は,南部北上古生層の北縁部にマントル構成岩が上昇しているわけなんで,古生層の基底・基盤問題を含めて,この山容を見ると背筋が熱くなるような?興奮を覚えたものです.
2013/03/19 14:46:55