釧路岩見海岸の古第三系不整合
ある目的でこの海岸に足を踏み入れた瞬間,おぉっ!と仰天してしまいました.『こんなすごいもの,なんで誰も話題にしないの?!』
まあ,単に私だけが知らなかっただけなのかもしれませんが...巡検なんかでも行ったという話は聞いたことないし,地質屋内での噂としても聞いたことがありません.
『道東の自然を歩く』にはこの近傍の露頭が紹介されていますが,非常にあっさりとしたもので,写真もイマイチ(失礼)なので,これほどのものとは想像もしていませんでした.
はっきり言ってこれは『道内随一の大不整合露頭』だと思います.露頭下部の成層した地層は,白亜紀~暁新世前弧海盆堆積体根室層群のメンバー汐見層.露頭上部は塊状の礫岩層で,始新世挟炭層浦幌層群既定の別保層です.
これほどメジャーな不整合が,これほどの規模で露出しているのは,道内では(繰り返しますが)ここくらいではないかと.
この不整合面は,この露頭の右側の海岸露岩部にもろに露出しており,右写真のような汐見層上の浸食面に載る別保層礫岩をまじかに観察することができます.とはいっても,写真見るとお分りのように,干潮時でないとダメですが.
礫岩は crudely bedded で,おそらく礫質網状河川の堆積物かと思われます.
この岩見海岸,ここから西(釧路市街地)側に歩いて行くと,ゆるく西に傾斜しているので,別保層⇒春採層⇒天寧層⇒雄別層と層位学的上位をほぼ連続的に見ていくことができます.
左の写真は春採層最上部の石炭層(+炭質シルト岩)を侵食する天寧層基底部の礫岩層です.いわゆる『赤玉』と呼ばれる性格がよく見えています.
それにしても釧路というところは(地質的に)実によい場所です.惜しむらくは札幌から超遠い...でも,道東地域に巡検に行くことがあったら,迷わずこの岩見海岸を STOP に入れるでしょう.
2013/02/14 12:12:31