北大聖蹟碑の故郷-三石蓬莱山
日高海岸地方・三石町の中心街を抜けたところで国道を左折し三石川に沿って少し行くと,町民パークゴルフ場が見えてきます.その背後に,山水画のように木々をのせた小さな岩山がそびえています(上写真).これが蓬莱山です.
蓬莱山の奥から河川敷に降りると,ふもとに近寄って蓬莱山を形成している岩石を見ることができます.聖蹟碑の岩石によく似た角閃岩です.良く見ると少し青みを帯びており縞状構造をしていることが分りますが,残念ながらここではザクロ石を含む部分は見つかりません.
蓬莱山は,周囲のなだらかな里山の中に突出した岩山です.このような地形は,岩石の硬さが周囲とは大きく異なることを示しています.それは,付近の地質に関する調査報告を見るとすぐに理解できます.
この場所には、新生代の地層を切断する断層帯(三石断層)が走っています.地層の下には,地下深部で形成された『神居古潭変成岩』と蛇紋岩が潜在しており、それらが断層に沿って幅狭く押し出されて、蓬莱山を形作っていたということになります.
北大聖蹟碑で見られるようなザクロ石や磁鉄鉱レイヤを含むタイプの角閃岩は非常に珍しいもので,北海道では蓬莱山の周辺でしか見つかっていません.聖蹟碑の「柘榴石」は、たしかに蓬莱山(の近く)から切り出された『磁鉄鉱・ザクロ石角閃岩』だったのです.
蓬莱山からJR線路を挟んで反対側の山の斜面には,このタイプの角閃岩を石材として採取していたところがありますが,現在は採取しつくされてしまい,現在はほとんど見ることができなくなったと聞いています.
その意味で,北大聖蹟碑の石材は、北海道の地殻深部の岩石を示す,地質学的に非常に貴重な記録ということができそうです.
2013/03/27 13:03:55