大成太田の花崗岩
だいぶ昔の話ですが,旧大成町(現せたな町)太田にはじめて行ったとき,こんな風景にけっこう驚きました.中生代花崗岩の海岸露出の上に,直接国道が載っているんですね.クルマで走りながら,北海道にもこんなところがあるんだな...と思ったことを覚えています.
この道路はその後帆越トンネルが出来たため,廃道になってしまいました.しかし,このルートが『(知床除いて)北海道最後の海岸沿い未開通区間』であることは現在も同じです.
帆越トンネルを太田側に抜けると,出口の左に太田神社が立っています.こういう雰囲気はなんとなく北海道離れしていて,やっぱり道南だなと感じます.この神社も花崗岩体の上に立っています.
このとき(今年6月)はかなり天気が悪かったんですが,神社の背後にすごく急峻な斜面があるのが見えると思います.こんな感じ.
海岸道路の写真左端に小さく鳥居が写っていますが,これが『太田大権現』参道の入り口です.かなり有名になってテレビで紹介されたりしているのでご存知の方も多いと思いますが,この斜面を400mばかり直登したところに“ご本尊”(?)を納めた社があります.社のすぐ下はもはや石段もなく,岩壁に鎖が設置してあるだけで,かなり危ないそうです.
このアーティクルは,そこへの登頂記...では,残念ながらありません.私にそんな根性・体力はないし,天気(時々土砂降り)も悪かったし,おまけに『参拝目的以外の人間は立ち入るべからず』という看板があったような気が...(言い訳モード f(^^;)
例の北海道地質百選がらみで,この斜面が,花崗岩でできているのか,それとも神社そばの海岸露頭に出ている変質岩なのかを確認したかったんですよね.おそらく後者だとは思いますが.まあでも,それはまた別の機会にしようと,鳥居の写真だけ撮って退散確認しようと思ったら...
鳥居の脇で土地のご夫婦がいい感じでくつろいでおりました.時々土砂降りの空模様だというのに,まったりしたものです.あまりにいい感じなので,うしろから鳥居と一緒に撮らせていただきました.
実は太田に来たのはこれが三度目で,その2度目は,1993年の『北海道南西沖地震』の被害調査でした.ご存知かもしれませんが,太田の集落は津波の直撃にあって,大きな犠牲を出しています.私たちが行ったときも,道路は瓦礫だらけで破壊された住居の後片付けで騒然とした雰囲気だったことを覚えています.
そういうことが二度とこの平和な集落に起こらないことを祈って帰途に着きました.この次こそ,この石段を登ってみようと思いながら.
2009/11/06 11:29:03