小樽忍路兜岬





なんだかんだやってるうちに明日からゴールデンウィークです.東北大震災に心が囚われているうちに,今月の書き込みはまだ4/1の一つだけ...ここはあえて能天気な書き込みでお茶を濁そうと.

小樽市街の西にある忍路岬(という地名があるのかどうかは?)は,鮮新世海底火山岩類の海岸露出として有名なところです.例の豊浜トンネル崩落事故も,この地質に関連したいたわけで,札幌権の地質屋にはけっこうポピュラーなところだと思いますが,不肖私は地質屋になってから40年,一度もここに行ったことがありませんでした.

で,今回たまたまこの地点での学生実習の担当が回ってきたので,自分なりに咀嚼しておこうと,下見に行ってきました.上の写真は,北西の突端である兜岬の上にある兜岩です.
非常に特徴のある形状をしていて,確かに兜の上の飾りみたいです.海に面した部分は,いわゆる『雲形侵食』(=タフォニ Tafoni)によって,溶食したようなな奇妙な形をして雰囲気を盛り上げています.

最上部の黒く見えるところは,水冷破砕溶岩で,その左下に供給岩脈が見えています.両者の接合部は草付きで隠されています.
溶岩の下位にあるのは成層ラピリ火砕岩で,ゆるく東に傾斜しています.この周辺の鮮新統はほぼ水平層なので,山岸さんらこのへんの研究者は,この傾斜を initial dip と見て,火山体が向かって右(海)側に存在していたたと考えているようです.
で,この成層火砕岩の中を見ると,こんなへんな形をしたものがたくさん含まれています.



火山弾ですね.場所によっては,もっと扁平で,複数の火山弾が癒着して層状になっている部分もあります.
火山作用にあまり詳しくない私には,ちょっと理解できないんですが,これは,水中噴火の抛出物なんでしょうか? それとも水面上噴火? 水中噴火ならば抛出の過程で冷却されるので,いわゆる『牛糞状』にはなりにくいような気もするんですが.また,水面上噴火だったとしても,定着部の水深はすごく浅かったような気もします.

このへん山岸さんの仕事をちゃんと読めば書かれていることなんでしょうけど,とりあえず見てきたときの感想ということで.

2011/04/28 10:50:36


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