中の川層群ホルンフェルス





この露頭は昔からあるんでしょうけど,私は最近見つけました.えりも町庶野の北方,国道336号線の脇に出ているので,すごく観察しやすいです.
ご覧の通りホルンフェルスです.すごく硬質で,白色鉱物脈が発達しています.この性質が2004年1月のえりも岩盤崩壊事故に結び付いたわけですが...それはそれとして.ちなみにこの露頭のすぐ南に駐車展望場があり,そこから北を見ると,ホルンフェルスを主体とした硬質岩盤が作る迫力ある岩石海岸の風景が広がっています.




露頭に近寄って見ると,源岩の泥岩砂岩互層の構造がよく見えます.変形形態から見ると,付加体砕屑岩中に典型的な層平行伸長を伴う未固結時変形です.
地層は,中の川層群のメンバーでしょうから,古第三紀暁新世~始新世前期,約6~5千万年前の付加体ということになります.北海道の付加体としてはかなり新しい時代のものということになります.
中の川層群の模式地は大樹町歴舟川支流の『歴舟中の川』だと思うので,ここからだいぶ北の方になります.広尾町周辺の海岸国道沿いにもかなりの露頭がありますが,その内部構造はあまり見たことがありません.報告もほとんどされていない?




この写真は,2004年のえりも町岩盤崩壊の調査の時に撮ったもので,崩壊場所に近い海岸露頭だったと思いますが,場所を良く覚えていません.この露頭では,変形が比較的弱く,薄層タービダイトの構造がよく見えています.付加体地質学的になにかユニット区分が可能かもしれませんが,誰もやってないですね.




最後にこれを見て,すごく懐かしい気分になりました.私が学部3年生の時の『道東巡検』の時,案内者の勝井義雄先生から教えていただいたのが記憶に残っています.今から40年近く前の話です.
要するに石灰質ノジュールが熱変成を受けたもので,Caに富んだ全岩組成のコントロールで透輝石(diopside)が生成しているためこういう特徴的な薄緑色をした見かけをしているんだと...いや,本当に懐かしいです.

2015/03/09 12:57:55


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