川流布KT境界粘土層
『川流布で土方作業』の書き込みで,よーく見てみよう(続く),なんて書いていながら,続きを忘れていました.なんと1年4カ月ぶりに思い出しました.
これが,KT境界黒色粘土層の神々しいお姿です.土方作業とビニール袋による注水作業の末にこれを見たときには,結構感動しましたね.
厚さは5~10cmといったところでしょうか? やや膨縮しており,場所によっては途切れかけているところもありましたが,おそらく構造変形の結果でしょう.
周囲の地層は灰色シルト岩で,粘土層の上下で岩相上の変化は見た目にはまったくありません.やや白色~褐色を呈する部分は石灰質な部分だと思われます.
Kaiho and Saito (1986)によって浮遊性有孔虫で時代が決定され,ここがKT境界と規定できたわけですが,それがなければ分からないというか,断層粘土だと思われたことでしょう.
ほぼ地球の裏側の海底には強い影響はまったくなく,塵が粛々と降り注いでいたというイメージですね.
これは,足寄動物化石博物館に展示されているKT境界のはぎ取り標本です.博物館の許可を得て撮影したものですが,あまりに標本が立派過ぎて,黒色粘土層がかえってよく分かりませんね.標本の右上から左下に走ると説明されています.左中央部の石塊は,おそらく石灰質ノジュールでしょう.
ところで,『KT境界(Cretaceous-Tertiary Boundary)』てのは,第三紀(Tertiary)が使えなくなってしまった今となっては,どう呼ぶべきなんでしょうか? KP境界(Cretaceous-Palaeogene)? Google で検索してみると,K-P boundary でたくさんヒットしてきますので,これを使うべきなんでしょうね.次からそう表記することとします.(^^;
2012/02/16 10:22:06