サヌシュベ・デッケ
このカテゴリーのかなり前のほうで,夕張地域の低角ナップ構造群の一つである『丸山ナップ』について書きましたが,それ以来ずっと気になっているのは,『ナップ露頭を一つも見ていない』ことです.
もちろんこれは非常に難しいことで,特に,函淵層砂岩と幌内層泥岩との間の,となると露出自体,ほとんど展望はありませんよね.奇跡に近いとでも言うか.誰か見た人居ますか?
で,前からもう一つ気になっているのが,『サヌシュベ・デッケ』です.国道274号線を夕張市登川からむかわ町(旧穂別町)へ越える峠の辺りから南へ分布しています.
デッケの主体を作っているのはもちろん函淵層砂岩なので,左の地図のように,明瞭なケスタ地形を作っています.ただ函淵層が向斜構造をなしているため,真ん中がくぼんだような地形になっています.その南端部は地すべり地形になっているようです.
私はずっと前から,この国道を穂別側に走るたびに,道の両側に砂岩層らしい露頭が迫る部分があって,『ああ...ここがデッケの南端かぁ』なんて思っていました.しかし穂別図幅を見ると,国道沿いにデッケ下底が露出してきそうな箇所は見当たりません.
それに加えて,デッケ下底に蝦夷層群上部の泥質相が張り付いてくるので,話は複雑に(=砂岩層下底がデッケ下底というわけではないことに)なります.
しょうがないので,サヌシュベ・デッケ本体ではありませんが,その東側の小さなデッケが幌内層に接するように地質図に描かれている桂木橋の沢を上ってみました.
結論から言うと,どれが幌内層の泥岩なのか皆目分からず,函淵層砂岩は確認できたのですが,細粒相が函淵層あるいは蝦夷層群上部のものなのか,幌内層のものなのか,判断できませんでした(未熟).
右の写真は,アリバイ的に撮ってきた,函淵層砂岩層下底の剪断破砕部です.うーん...これがナップの派生構造なんだろうか? でもなんだか見ていると地すべり体内部の構造にも見えてくるような...
ということで,敗退.再挑戦の気力は残念ながら湧いてきません.もう一度書きますが,どなたか『夕張ナップ群下底』の露頭を実際に見たことのある方は...?
2011/09/26 14:34:37