赤はげ礫岩





これも“今年の夏見たシリーズ”です.もう冬だというのに.(^^;

道南,福島町松浦展望台の先のところに出ている“赤はげ礫岩”です.写真見ると,名前そのまんまの露頭なので,道路通っていてもすぐ分かります.

これは道南第三系の最下部層である福山層の基底礫岩です.福山層は大部分は下部中新統とされていますが,その中上部の年代が 23 Ma~ なので,少なくとも下部は漸新世までかかると考えられます.




この赤はげ礫岩,今までその前を何度も何度も通っているのですが,露頭に接近して見たことがありませんでした.今回はちゃんと見てやろうと,堰堤や布団籠を乗り越えて露頭に取り付いてみました.そのおかげでダニにも取り付かれてしまいましたが.
なんとも見事な酸化具合で,いかにも陸成層という感じがします.礫種は案外火山岩が少なく,基盤のジュラ紀付加体の岩石と花崗岩類が目立ちました.かなり変成した岩石も.
礫岩はほぼ“無秩序”で,ほとんど層理を示しません.その中に厚さ数十cmの砂レンズを含んでおり,砂の bar をはさむ河川性・扇状地堆積物のようでした.

この陸成礫岩をみていて感じたのですが,この礫岩が堆積した当時は,まだ日本海がなかったんですよね...というのは,言いすぎか.日本海が出来立てで今よりずっと狭かったんですよね.今は目の前に青々とした津軽海峡の海が広がっているだけに,すごく不思議な感じがします.



これはたしかCOEのシンポジウムのために大藤(2000)の図を借りたもの(Kawamura, 2004)ですが,一番北の北海道の部分は,私が勝手に書き加えたものです.ほんとにこうなっているかはあまり根拠ないですけど,まあ自然に考えればこうなっているだろうと.道南の部分がシホタアリンのところに埋め込まれているような表現はちょっと×だけど.

この赤はげ礫岩は置いとくとしても,渡島帯付加体とか石狩挟炭層とか,巡検なんかで学生に『この地層が堆積したときはまだ日本海はなかったんだよ』と説明しても,彼らは分かったのか分からないのか,いずれにせよきょとんとしています.そんな時,地質学がイマジネーションによって支えられていた時代は過ぎ去ったのかいな,なんて感じてしまいますね.

2009/11/20 09:53:35


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