夕張・謎の台地状地形(その3)
さて,週を越えてしまいましたが,種明かし編です.
図の右半部は,地質調査所『1/50,000分の1地質図幅大夕張』の一部ですが,要するにこういうことになっていたんでした.
このへんにサヌシュベ・デッケなどと呼ばれる低角衝上構造があることは私もなんとなく知っていたんですが,ちゃんとした知識がありませんでした.その知識があれば,この台地状地形にもそれほど驚かなかったのかも.
で,大夕張図幅によるとこれは『丸山根無し地塊』よ呼ばれるクリッペで,上部白亜系函淵層(と一部“上部蝦夷層群”)が,古第三系幌内層群の上に衝上しているものです.幌内層群は主に shale から軟質な岩質で,その上にほぼ水平層の砂岩層からなる函淵層が載っているので,このような台地状地形を作っているというわけです.
図の左は,国土地理院の地形図上に私が判読した地形線を入れたものですが,台地状部を白亜系クリッペが作っていること,その周囲にかなり大規模な地すべり地形が形成されていることを示しています.
地すべりは,上部に水平に近い硬い岩質の地質体が載っていることによる,いわゆる“キャップロック地すべり”の特徴を示していると思われます.素人なんで間違っているかもしれませんが.
ということで,『私たちが見る地形は実は地質の成り立ちをほぼ1:1に反映している』ということを体現的に説明してくれるものとして,なかなか面白い...と思うんですが,これに共鳴してくれた地質屋さんは,まだいません.どういうこっちゃ.
2009/04/06 09:44:00