花咲岬のドレライトシート





根室車石で有名な,根室市花咲岬の駐車場から車石とは逆の方の海岸を見ると,こんな露頭が見えます.露頭下部の成層部は,明らかに砂泥互層(浜中層?)ですが,上部はなにやらモコモコとしていて,どうやらドレライトシートのようです.
元北大の新井田清信さんが『道東の自然を歩く』に見事な枕状構造を持つドレライトシート底部の写真を載せていますが,どうやらこの露頭のようです.

ということで,海岸に降りて見てみることにしました.しかし,草地を横断して海食涯の端に近づいてみても,特に降り道らしきものはないので,沢型の付いてる所から無理矢理降りるしかありません.




降りてみると,やはり見事な露頭です.ドレライトシートの下底面は,多少波打っており凹凸があるようです.残念ながら潮位・波高が高くて露頭右側の下底面が下がってきているところまでたどりつけず,新井田さんが載せているようなジャストの境界を見ることはできませんでした.まあでもこういう迫力のある露頭を見れて感激です.




これはどの場所で撮ったんだか...おそらく入り江の手前側でドレライトが海岸レベルまで下りているところだと思います.上部と下部は板状節理と言うのか,いかにもシート状ですが,真ん中のところは,枕状で,中央右にはかなり大きな pseudopillow らしきものが見えています.シートの真ん中がこうなるというのは,どういうメカニズムなんでしょうか?

ところで,いつも思うんですが,これだけ規模の大きなシートが貫入していながら,根室層群の中に顕著な噴出相がないのはなんでなんでしょうね? ノッカマップ層は,まあ噴出相と言ってよいような岩相ですが.『日本地方地質誌』の君波さんの記述によると,色丹島の根室層群には,かなりの量の噴出相が含まれるらしいので,たまたま,ということなんでしょうか? 北海道側では根釧原野の depression の下に隠れているということかもしれません.

ちなみに,私が観察した浜中層のタービダイト砂岩はすべて,アルカリ玄武岩?質の火山性砕屑物に富んだ,ほとんど火山性砂岩と言うべきもので,噴出相(海底火山)由来の重力流堆積物なんではないかと思われます.そういう意味でも,やっぱり『たまたま』なのかな?

ただし,ドレライトシートが何十kmも横に貫入してくるとは思えないので,その噴出相(ドレライトの origin)がはるか遠くにあったとは思えないので,『近傍にあった』ということになるのではないでしょうか?
そうだとすると,根室層群の堆積盆内に島弧?火山があるわけですから,そりゃ前弧海盆ではなくて島弧そのものになっちゃうみたいな.うーむ...それとも,なんらかの『前弧海盆火山活動』が?! どうもすっきりしません.

2013/04/08 11:41:53


カテゴリー目次へ戻る
トップページへ戻る