空知大滝-もう少し見ると





このカテゴリーの一番最初に,中蝦夷地変というテクトニックイベントにとっては罪深い?空知大滝の蝦夷層群について書きました.で...その後のフォローを忘れていました.私の地質ブログは,一歩踏み込んでおくのが信条ですから.時にやりすぎることも.(^^;

で,この写真は,以前上げた橋本亘さんが基底礫岩としたものです.不思議なことにタービダイトの構造が二階建てになっていて,下部の礫岩部がかなり厚く,おまけに上部の粗粒葉理砂岩部と全然漸移していません.これを基底礫岩としたのは,無理からぬこと,だったな...と思います.




しかしもちろん,下位に斜交関係で覆われているのは,ご覧のようなスランプ体で,内部の褶曲や層理破断が著しい,一目で見て異常堆積相と見えるものです.しかも,計ったわけではありませんが,少なくとも厚さ10 mはある大規模なものです.橋本さん(や他の方々も?)が,これを見落としたのは,何故だったんだろう?と正直思います.私もそうですが,思い込むと他のところは見えなくなってしまう場合が往々にしてありますから,他山の石,ですね.

あるとき,もっと広く見るとどうなっているんだろう?と,空知大滝から上流側を見に行ってみました.そうするとこんな露頭が.



うーむ...これは一体なんなんでしょう? 周りは普通の泥岩砂岩互層なんですが,こんなヘンな礫岩が挟まれています.異様に oversized な砂質基質支持礫岩で,おまけに基質部には,長細い紐みたいな泥質部が含まれています.全体になんか流動しているように見えるのは気のせいなんでしょうか?

永田ほか(1987)によると,この場所の北方延長部の『中部蝦夷層群』から蛇紋岩礫を含むスランプ礫岩が報告されているわけなんで...そういうものとの関係が気になりますが,とりあえずよく分かりません.

やっぱり蝦夷層群って,堆積相や未固結時変形など,あまりちゃんと研究されていないんだな...と切に感じます.

2010/03/30 14:03:19


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