蝦夷層群下部層準変形層





これは,新ひだか町(旧三石町)三石川中流部での林道工事の際に出現した,蝦夷層群下部層準の見事な変形層露頭です.撮影時期は2000年9月です.現在は(おそらく)工事の進行で露頭は失われたか,覆われていると思います.残念なことです.




露頭をクローズアップしてみると,こういう変形層で,要するに層面平行な伸長変形を受けています.一部は,層面に低角で斜交する断層で転移しているところもあります.そのセンスはちょっと私には判断できません.
砂岩層には,層に垂直な引張割れ目が多数発達しており,かなり固結度は高いです.砂岩層の間の泥岩層は,層平行劈開が発達し,一部鱗片状です.

写真が何だか粗く見えるのは,当時の私物だった(当時の最高画素)200万画素デジカメで撮った写真のせいです.わずか13年前ですが,それ以後のデジタル写真の発達はすごいなと思います.




層理面を下から見上げると,層面すべりにも関わらず,下部層準ではよくありがちなソールマーク(フルートキャスト)が見られます.ロードキャストもありますね.いかにも蝦夷層群下部層準らしい岩相です.

ここで重要なのは,この下部層準が,この地域で中部層準に明瞭な不整合で覆われているということです(Ueda et al., 2002).
中部層準の基底河川成相は,当時の論文のレフリーが『Neogeneじゃないのか?』と言ったくらい非変形で固結度も低く,もちろんこんな層平行伸長変形など受けていません.要するに,埋没深度というか,構造レベルがまったく違っているんですね...これは重要なことだと思います.

ところが,この地域のすぐ南東隣,浦河地域では,下部層準と中部層準は整合関係で,当たり前ですがほとんど変形岩相差がなく,一連の埋没地質体と思われることです.
これは不思議です.おそらく,何か大きなことを見落としているんだと思いますが,それが何かはまだ分っていません.気になります.

2013/05/15 13:24:11


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