蝦夷層群基底不整合...ではない編





これは,新ひだか町(旧静内町)の高見ダム湖畔に露出しているものです.古くは『農屋図幅』(松下・鈴木,1962)で不整合として写真が掲載されている場所の延長部に当たるので,誰もがこの露頭も不整合だと思っています.私もこの露頭を見たとき,一緒におられた誰か先輩(誰だったっけ?)から『中蝦夷不整合の露頭だぞ』と教えられて,ずっとそう思い込んでいました.

下部の少し白っぽく見える塊状部が,ナイ沢コンプレックス?の枕状玄武岩です.立っている人(望月貴君です)の頭のちょっと上までのところです.で,その上位が変形した『中部蝦夷層群』.

川村ほか(1999)ではこの露頭について『両者の間に破砕現象や混在現象は認められず堆積性接触』と書きましたが,それは間違っていました.自己批判.m(__)m




このサンプルは,右側の境界部付近を掘りまくってやっと採った『境界部の蝦夷層群』のサンプルですが,めちゃくちゃ破砕・混在しています.テクトニックメランジュと言ってもいいくらいです.
ということで結論は...この露頭は,蝦夷層群と緑色岩との断層接触露頭,ということでした.もしかすると衝上関係なのかもしれません.

ただし,松下・鈴木(1962)が示した写真の露頭も断層とはいえません.その近接写真見る限りでは,たしかに堆積性接触に見えます.しかしその露頭もいまや高見ダム湖の水面の下...検証不可能となっています.

2010/01/08 14:15:48


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