後静の根室層群
浜中町後静(しりしず)海岸は...なんていうか,『地層を隅々まで見たなぁ』という満足感を覚えるサイトです.
まずはクルマを止めて海岸に降りると,このような広々とした風景に癒されます.実に爽快です.砂浜の海岸にはたくさんのカモメが飛び交っていて,ますますいい雰囲気です.
で,この海岸を数百m歩いて写真の向こうに見える露頭までたどり着くと,見事なタービダイト互層が迎えてくれます.
層準としては,厚岸層に相当するものですが,薄層タービダイト互層で,かなり distal な感じで,なんとなくbasin の深いところというイメージがあります.単にイメージですが.
この露頭自体は,心が癒される見事なタービダイト互層ですが,ふと露頭の上を見上げるとこんな感じになっています.
食い違い型のスランプというか,おそらくもっとマクロに見えれば破片-ブロック型になってるんでしょうけど,比較的おとなしい蝦夷層群を見慣れている目からは,なんとも豪快なスランプに見えます.
もっとも,蝦夷層群が広範に海岸に露出しているところは,(少なくとも)北海道にはないので,単に全容が見えてないだけなのかもしれません.
いずれにせよ,根室層群(の特に厚岸層)にスランプ変形が普遍的に卓越していることは事実です.よっぽど不安定な堆積盆だったのかな?とも思いますが,隕石落下津波のせいというジョークはさておいて,この不安定さは,テクトニックな見地から説明されるべきものという感じがします.
そう思いながら,後静のタービダイト露頭の下から東側の岬の方を遠望すると,こんな恐ろしい光景が見えているのでした.
いや,なかなかすさまじい堆積体です.これはちょっと,砂岩組成や供給源だけでは記述しきれないものだな,と感じます.
2013/04/03 13:21:12