二色のタービダイト





根室層群というのは,前にも書いたような気がしますが,東北地方~北海道中央部までをフィールドとしてきた私には,どことなくエキゾチックな存在でした.周囲であまり『評判』を聞かなかったということもあったような.

北海道大では当時(いつのことか.70-80年代?),根室層群と言うと君波和雄さんでした.軟X線を用いた当時としては先進的な研究で輝いていたと思います.しかし,メディアの質が今とは違っていたというか,第三者が根室層群の見事な露頭写真を見たりすることはまず滅多にありませんでした.なにしろ地質学雑誌に限りませんが学術雑誌はすべて白黒印刷だった時の話です.

年寄りの前振りが長くなってしまいましたね...f(^^; 上の写真は,浜中町奔幌戸海岸の根室層群門静層の露頭です.大体こんなイメージで,砂浜の上にでっかい露頭がどんと構えているという感じで,非常に観察がしやすいです.
昔からこんな良好露出だということ知ってればな...と思うのですが,当時は(また年寄りくさい)釧路や根室って地の果てだと思ってましたからね(冗談です).




砂浜から露頭を見上げると,こんな素晴らしい,心が洗われるような :-p タービダイト互層が現れます.まったくよいところですね.地層屋のオアシスみたいなところです.

ところでさきほどの君波さんですが,私はあまり君波さんと話す機会はなかったのですが,たまたまこんなことを聞いたのが今でも心に残っています.『根室層群にはね,色の違う二色のタービダイトが同一露頭に共存しているんだよ』.確かそのあとで『おそらく供給方向が全然違うんだろうね』とおっしゃったような記憶もあるのですが,記憶は定かではありません.

この2色のタービダイト,どこの露頭にあるのかは聞きそびれたのですが,なんと,たまたま立ち寄ったここでそれを見てしまいました.




風化状態がちょっと違うので,単に風化してるだけだろ?と言われてしまいそうですが,レンズキャップの上の単層は,新鮮部がグレーで,その下の単層は,御覧の通り緑色です.

もちろん,単に見ただけで,サンプル取って薄片にして確認したわけじゃないので,断言するわけじゃないのですが,君波さんはおそらくこういう露頭を見たんだろうと...グレーのやつはQF(siliciclastic)で,緑のやつは volcaniclastic なんだろうと勝手に思っています.
根室層群と言うのは,とにかくどこでも異様に volcaniclastic なので,こういうことがあってもいいのかな...と.

今度行った時は,ちゃんとサンプル取ることにしますね.

2013/03/19 10:49:47


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