蝦夷層群基底不整合-崩れ沢編
蝦夷層群中部層準の不整合シリーズです.まずは,一番スペクタキュラーな,新ひだか町(旧静内町)春別川上流支流崩れ沢の露頭です.最終人家から30kmはあるところで,おまけに林道にクルマ置いて,滑床の沢を登る,というところです.普通の人は滅多に行けないところですね.
もちろん私たちが最初に発見したものではなく,蝦夷層群研究の黎明期に先輩方が苦労して調査・発見されたものです.小山内・松下(1960),鈴木ほか(1961)に記載されています.
上の写真はその全景.露頭の前でうろうろしているのは植田さんと内野さんです.
この露頭の中央部にクローズアップすると,こんな具合になっています.下部の暗緑色の岩石が,玄武岩質枕状溶岩です.ほぼ非変成で,植田さんの区分ではナイ沢コンプレックスということかと.
で,その上位が蝦夷層群中部層準の基底相で,礫質砂岩層です.下位に由来する玄武岩礫がよく分かります.白っぽいのは,貝殻片あるいは炭酸塩でコーティングされた円礫です.右側の礫の配列は明らかに斜交層理を示しており,全体としては forshore~upper shorefaceのものかと.高嶋・西(1999)では,この部分を半深海性の重力流堆積物としていますが,間違いだと思います.
このサンプルは,不整合面そのものを採取して研磨標本にしたもので,以前私の研究室に在籍していた森谷明博君が採集・作成したものです.貴重なサンプルですね...
2010/01/08 13:43:57